新喜劇もろもろ

JUGEMテーマ:アート・デザイン

 

吉本新喜劇と言えば、ある年代以上なら誰もが知っているコンテンツ。

1999年スタジオALTAでの定期東京公演から関わらせてもらうことになって

10年強の間、相当な数の絵を描いた。

 

もともと自分は大学の専攻も舞台美術だったんで

現在メインのTV美術より気持ちが入りやすく

毎週行われていた打ち合わせも結構楽しんでいたと思う。

とは言え、自分は関東出身であり、関西圏の同コンテンツは

聞いたことがあっても見たことがないから、馴染むまでは相当試行錯誤で

演出家の方と(これはもう関西圏の超ベテラン)、毎週あーでもないこーでもないしながら

舞台を作っていった。

 

こういった歴史の深いものは、役者の持つ定番芸(定番ギャグ)を知らないと

そもそもセットが成立しなかったりするから、稽古場にもマメに通ったし

自分にとって関西圏の謎な単語(失礼...悪意はありません、笑)も質問だらけにした。

因みに下の絵は、打ち合わせ時に演出家より『おばんざい屋』さんを作りたいって言われたんだけど

自分には全く初めての言葉で『ン?おばんざいとは??』的な...。

新喜劇の世界でのみ通じる、ぶつけ用の壁とか、薪雑把(まきざっぱ、まきざっぽう)入れとか

当時はネット検索なんかできなかったから、知らないことは聞くしかない。

そんなだから、自分的な軌道にのるまではエラく大変だったけど

好きな世界を仕事で関わらせてもらえるんだから、有り難い話だったと思う。

 

 

いや、しかし...随分年季の入った図面だ...。

 

話が逸れちゃうけど...

昔は舞台の描き割りをやってくれる職人さんに、色の感じを解ってもらいたかったから

水彩で彩色した原図をそのまま渡していたから、すっかり汚れてしまった。

中には直接原図に調色した絵の具を塗って、色味を判断していたものも残ってるんだけど

意外とそういうの嫌いじゃない。なんか味が出て(笑)。

デザイナーによっては作品を汚されるから怒る人もいるかもしれないけどね。

 

 

戻して...

当初はスタジオALTAでの週末公演。

毎週水曜日に演出家とセット打ち...台本を読みながら絵を描き、モノクロの状態でコンセンサスを得る。

金曜日の笑っていいとも終わりで、前週打ち合わせして発注したセットの建て込み飾り。

土曜日は朝一でリハ、夕方には公演。日曜日は次週公演の各所打ち合わせと公演、そしてバラシ。

そんなスケジュールだから、こういった絵の色つけはセット打ちした翌日の木曜にやっつける。

金曜の建て込み前には図面描きと大道具・装飾さんへのセット発注。

そんなループがしばらく続き、イレギュラーの東京FMホール公演、

そして新宿のルミネホールの公演を数回やった後

同ホールは吉本さんの新拠点『ルミネtheよしもと』となって新喜劇は続いているんだけど

新しい劇場になってからは若干スケールが大きくなったんで毎週ループはなくなった。

その代わり、座長毎の台本になった為に変わるときは一気に数本動く感じで

テレビ番組の季節毎の改編よろしく、台本と図面を持って歩くのが大変だった...。

その重さでカバンの手提げ部分がブっちぎれて、電車のホームに落としそうになったこともあったな〜。

 

 

 

前にもブログで書いたけど、こういう絵を演出家の意向を聞きながらどんどん下絵にしてゆく。

まずは台本内に書かれているシチュエーションをベースにしながら

役者の動きを落とし込んで、メインの芝居場と導線を作っていき

雰囲気出しのエイジング、小道具の配置などで空間に肉を付けてく。

その場で描いていくってことは、自分の頭の中にどれだけ情報が眠っていて

それをいかに引き出していけるかが全てだから

演出家との打ち合わせ時は本気の勝負の場で、談笑はしてるけど頭はフル回転...

脳がエネルギーを使っちゃうから、終わるとお腹が減ること減ること(笑)。

 

 

描いてる最中にも、演出家は『テーブルは1尺下手がいい』とか

『壁から突然登場』『電話を...』てな具合に要望を出してくるんで

それに合わせて直したり、あまり現実的じゃないことなら代替案をだしたりして進める。

ここで重要なのは、断るのではなく代替することなんだよね。

ダメとかムリと言ってしまうのは簡単だけど、ネガティブ思考は何も生み出さないから

予算や物理的なことも一緒に計りにかけて、最大限の効果を狙って創造する。

そこで認められるかどうかが自分の客観的評価に繋がっていくから

そりゃー頑張りますさ。

もっとも、エラそーに書くほど大したことはやってませんが...。

 

 

 

昔の彼女と行ったペンションも、ツーリングで泊まったひなびた温泉街も、

本を読みながらユッタリする喫茶店も、日常全ての風景何もかもがモチーフだから

今までいっぱい遊びに行ったり出かけたりしたことが、全部役に立ってる。

 

だから、これからもいっぱい遊びに行こうっと。

 

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